イントロダクション


■映画の背景について

 

平成28年度、全国210箇所の児童相談所で対応した児童虐待の件数は、過去最悪を大幅に更新し122,578件。平成2年度から28年度まで連続で増加し続けています。その後も、児童虐待・ネグレクトなどによる事件は後を絶ちません。また、10代の子どもの自殺や、友人を殺害するなどの凄惨な事件の陰にも児童虐待の影響が色濃く見えています。なぜ、こんな事件が起こるのでしょう・・・事前に悲劇を防ぐことは出来ないのでしょうか・・・

 

子どもを取り巻く状況は、年々厳しさを増しているようにも感じます。それなのに、そこで暮らす当事者である子どもたちの声、施設側のスタッフの声、施設を出て社会で暮らす人たちの声が、私たちに届くことが少ないのが現状です。

 

彼らが何を感じ、どう生きようとしているのか。また我が子を、社会的養護に預けざるを得ない状況に追い込まれた親たちは、何を思い生きているのか…

 

社会的養護の背景と現状を描くために、私たちは前作の映画「わたし、生きてていいのかな」を製作しました。

 

私たちは映画を通じて、より多くの人たちに、現代の子どもたちを取り巻く問題と、子どもを救い守ろうとする大人たちの活動を伝えたいと思っています。

「人間は誰しも、弱い。

 痛みを抱えながら、生きている。

 だけど、その先には、希望の光がある。

 手を取り合えば、強くもなれる。

 周囲の人は、必ずあなたに気付いてくれる。

 あきらめないで。

 今はつらいけれど、それでも、光あふれた明日は必ず来る」

 

映画を観ていただくことで、「私の隣に、苦しみを抱えている子どもや家族がいるかもしれない」という気づきのきっかけになれれば…

救いを求める子どもたちの声に、耳を澄ます助けになれば…

行政が動き、新たな支援団体が表れ、個人・企業が手を差し伸べられるような動きにつながれば…

 

もしかしたら、子どもたちの未来に希望の灯がともり、凄惨な事件が少しでも防げるかもしれません。

 


■映画のテーマ

映画は、「こども食堂」を主な舞台として展開します。


こども食堂は、一見、「貧困家庭の子どもが食事に来る食堂」のようなイメージも持たれていますが、実はそうではなく、子どもだけではなく大人もお年寄りも誰もが食べに来れて、地域の人々に囲まれた団らんの中で、子どもが一人でも安心して食事ができる場、子どもからお年寄りまで多世代が悩みなどの話ができ、誰もが自分の居場所を見つけられるような、そんな場となっています。

私たちは、こども食堂を舞台にして、そこに来る何らかの事情を抱える子どもたちを取り上げ、現実の問題を提起するとともに、その解決に向け動く大人たちも描きます。

更に、ひとつの大きなテーマとして、里親を取り上げます。

通常、社会的養護を受ける子どもたちは、施設に入ることが多いのですが、今年8月、厚労省は「新しい社会的養育ビジョン」で、社会的養護において家庭養護を原則とする方針を固めました。特に小さい子どもたちについては75%以上を里親家庭で預かることができるようにするとのことです。

このことからもわかるように、今後、里親は、社会的養護を受ける子どもたちにとって、益々重要な役割を担うようになります。これを映画で取り上げる事によって、多くの人に知ってもらいたいとも考えています。


■前作映画について

前作映画「わたし、生きてていいのかな」では、児童虐待、ネグレクトの現実、子どもたちが直面している問題、過去の傷を抱えて大人になった人たち、そして傷ついた子どもを支える大人たちの活動を描きました。

 

映画「わたし、生きてていいのかな」公式ホームページ

http://sunshine-movie.com/kamisama/

この映画は、2016年から、各地のNPO、児童虐待防止啓蒙活動を行う団体、児童相談所、児童養護施設、大学、高校など、全国45団体が上映会を開催してくださいました。

今回創る映画「こども食堂にて」は、この前作で高校生だった主人公が、今作では、20歳の大学生になっています。今作は続編という位置づけにはなりますが、前作のストーリーは一旦完結していますので、今作は新たな映画として観ていただけます。

私たちは、映画「こども食堂にて」では、児童虐待に加え、子どもの貧困、里親など子どもたちに関わる問題に目を向け、新しい映画を製作していきます。